日向夏みかんと宮崎大学の長い研究の関係とは?

宮崎大学 学長
池之上 克

1970年 鹿児島大学医学部卒業[3]
1972年 鹿児島市立病院産婦人科医員
1982年 医学博士号取得(日本大学)
1990年 鹿児島市立病院産婦人科部長
1991年 宮崎医科大学産婦人科教授
2003年 宮崎医科大学の宮崎大学への統合に伴い宮崎大学医学部附属病院副病院長
2007年 宮崎大学医学部長
2010年 宮崎大学医学部附属病院病院長
2014年 宮崎大学退任、名誉教授
2015年 宮崎大学学長

日向夏の歴史に深く関わってきた宮崎大学

日向夏のルーツは橘だと言われています。現在の野崎病院があるあたり、曽井地区で偶然発見されました。原種は、種子が多く酸味が強いものでしたが、宮崎大学と県総合農業試験場が、より多くの人に好まれるように日向夏の改良に取り組んだんです。そして、本学農学部の三輪忠珍先生や長友大先生が、日向夏の研究に力を尽くし、実を大きくしたり、酸味や苦みを少なくし食味をよくしたりなどの成果を上げて、今日の多くの人に愛される日向夏があります。しかし、健康にはどういう作用があるのかという医学的な研究はされていなかったんです。ちょうど大学はこれからもっと地域に貢献していこうという方針を出したこともあり、日向夏か切り干し大根で研究をしてみてはどうだろうかと若い先生たちに話していました。
また清武町の当時の町長だった落合兼利さんからも、「日向夏は台風の風でも落果しないから、宮崎の風土によく合っている果物。日向夏の知名度をもっと上げられれば」と相談されたこともありました。

研究を続けるための材料が手に入らない

その後、ホルモン代謝などを専門にしている山口先生が、更年期の女性の健康に貢献できるような成分を日向夏から見いだせないか研究を開始。ラットを使った研究で、骨の代謝に役に立つという成果を出しました。
日向夏の皮部分に骨代謝を助ける成分があるということまでは分かりましたが、本格的に研究を進めるに当たって、日向夏が足りないという問題が浮上しました。そこで、宮崎県農協果汁の担当者に搾りかすが欲しいと話をしたんです。しかし、誰がどうやって運ぶかなどの問題があって、話がまとまりませんでした。とはいえ、知人を頼って再度お願いしたところ、搾りかすをもらえるようになりました。そこから、また研究が飛躍的に伸びていきました。当初は医学部だけで行っていた日向夏の研究ですが、工学部などまで広がって多くの人が関わる研究になりました。

日向夏の可能性をもっと広げたい

日向夏の成分を入れたドリンクが、宮崎大学と宮崎県農協果汁の共同開発商品として2018年3月に販売開始しました。この商品は、宮崎大学病院でも販売しており、いい反響が起きていると聞いています。健康寿命を延ばすためやロコモティブシンドロームの予防に、骨粗しょう症の予防は今後ますます注目されていくと思います。
骨が丈夫であることが、健康寿命を延ばすことにつながると、最近では周知されてきています。また、骨の代謝に関係するホルモンが、若返りにも関係するという研究データも出ています。骨が丈夫だからこそ、体を動かすことができるし運動もできる。だからこそ、生活習慣病や、認知症、糖尿病も予防できますし、いつまでも若々しく生活するために、大切なことだといえます。

日向夏の成分を女性アスリートや宇宙食にも

日向夏に骨の代謝を助ける成分があるということは、幅広い可能性を秘めていると感じます。骨に負担が掛かるようなことをしている場所や人に、薦められる商品になるからです。
例えば厳しい体重制限が必要な女性アスリート。女性ボクサーなど体重制限が厳しい種目は、月経がなくなるほど過酷な食事制限をする人もいると聞いたことがあります。そうなると更年期と同じような状態になり、疲労骨折しやすくなります。機能性食品の表示ができるようになると、ボクシングぐらいに体重の絞り込みが必要な女性のアスリートなどに、今後お薦めできるのではないでしょうか?
宇宙に滞在すると骨粗しょう症になりやすいという話もあるので、宇宙旅行に日向夏エキスを使ったものを開発するという日も来るかもしれません。
骨の代謝に役に立つ日向夏の成分は、今後幅広い可能性を持っていると思います。

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